都市の中核病院では、ほぼすべての病院に電子カルテは導入されていて、利用をしています。一方で、特に古くから開業をしているクリニックや医院では、紙カルテをいまだ使用している病院は多くあります。
今回は、電子カルテ導入のメリットについて話してみます。
1.スタッフの業務コストが改善される。
筆者が現在勤務している病院では、電子カルテがまだ導入されていません。すると、電子カルテの効率のよさを実感します。
・紙カルテは病名登録が大変
紙カルテであると、毎回処方をするたびに、その処方にあった病名と登録日を記載しないといけません。筆者は整形外科なので、腰部脊柱管狭窄症や抹消神経障害性疼痛など、漢字がいくつもある病名を書くのはとても大変です。電子カルテであれば、病名のセット登録をしておけば、クリックのみで病名登録ができます。
・紙カルテで入院となると作業量が2倍
また、入院となると、外来カルテとは別に入院カルテを作ります。外来カルテにも入院の経緯を記載して、さらに入院カルテにも同じ記載をしないといけません。記載作業だけでも純粋に2倍の労力になります。電子カルテであれば、外来カルテと入院カルテが一緒にでも、別でも表出でき、記載自体も1回ですみます。
・紹介状の作成も電子カルテは早い
紙カルテで最も不便を感じるのが、紹介状の作成です。特に、紹介状の宛名書きであったり、患者さんの住所や誕生日等の記載はミスができないところですが、一番ミスが起こりやすい。電子カルテであると、基本情報から出力されるので、間違う心配はなくなります。
2.指示ミスが減る。
電子カルテの導入で、純粋なミスが減ると考えられます。
・医者の文字は読みづらい。
紙カルテで一番苦労するのは、医者のカルテ記載の読解です。字のきれいな先生もいますが、大体は、よく読めない字でカルテが書かれています。そういった際は、読み取れる単語をつないで、書いてある内容を推測します。
・採血、画像のオーダーミスが減る。
採血や画像のオーダリングシステムも紙カルテであると煩雑になります。当日のオーダーだけならば良いですが、1週間先や1ヶ月先のオーダーを複数出しておくと、用紙が紛失したりするリスクが高まります。
3.若い医者、スタッフを雇用しやすい。
今後、若いスタッフを雇用していくならば、電子カルテの導入は必須と考えます。
・今の若い医療者は電子カルテしか触れていない
筆者は電子カルテの病院から、紙カルテの病院に移ってとても痛感しました。電子カルテであると、診療記事作成、保管、指示の連携とどれをとってもスムーズに行えます。この状態に慣れている医者や看護師は、紙カルテの病院に勤務することに抵抗を感じると思います。
個人病院のクリニックとしても、若いスタッフが入ってくる病院は活気があります。新人を雇うより簡単に、電子カルテを導入することで、若いスタッフを入れる準備ができると思います。