研修医の皆さん、後期研修を控えて医局に入局するかどうか悩んでいませんか?
私の地域では約8割の研修医が医局に入局する一方で、約2割の先生は医局に属さない道を選択しています。今回は、医局に入局しない働き方について、そのメリット・デメリットを詳しく解説します。
⚪︎医局に入局しないメリット
1. 自分の勤めたい病院で勤務を続けられる
入局しない最大のメリットは、勤務先を自由に選択できることです。
医局に入局すると人事は医局が決定するため、自分の希望通りの病院で働けるとは限りません。特に人気の高い病院では、応募が集中してなかなか勤務できないことも。
初期研修を行った病院で引き続き後期研修を希望する場合は、医局に所属せずに勤務を継続するのが確実な方法です。最近では、初期研修から継続して同じ病院で長期勤務する医師も珍しくありません。
2. 自分でキャリアプランを組み立てやすい
自分の意思で勤務先を決定し、理想的なキャリアを構築できます。
これはデカい。具体的な例はこれらです。
– 有名病院での研修を自由なタイミングで受けられる
– 留学などのキャリアアップの時期を自分で決められる
– 複数の病院を渡り歩いて幅広い経験を積める
医局に所属していると、留学のタイミングも前任者や他の候補者との兼ね合いで決まってしまうことがあります。自分のペースでキャリアを積みたい医師には、フリーランス的な働き方が適しているでしょう。
⚪︎医局に入局しないデメリット
1. 専門医取得が困難になっている
近年の専門医制度改革により、医局に所属していないと専門医取得が難しくなっています。
例えば整形外科では、分野ごとの臨床指導医資格を持つ整形外科専門医の下で研修を受ける必要があります。つまり、一つの病院だけでは専門医取得の要件を満たせません。
医局に所属していれば専門医取得のサポートを受けられますが、フリーランスの場合は自分で全てをマネージメントする必要があります。そのため、専門医取得要項の熟読と理解が必須です。
2. 医局関連病院での勤務が制限される可能性
ある程度の規模の病院は医局の関連病院であることが多く、医局所属以外の医師の勤務を制限される場合があります。
関連病院は医局からの派遣を受けているため、医局以外の医師の採用について圧力をかけられる可能性があります。希望する病院に応募しても、医局の意向で受け入れを断られるケースも考えられます。
3. 視野が狭くなりやすい
医局のローテーションシステムにより得られる多様な経験を逸してしまう可能性があります。
医局に所属すると:
– 様々な医療レベルや地域差を学べる
– 病院ごとの工夫や特色を体験できる
– 多くの指導医から学べる
– 将来のモデルとなる医師に出会いやすい
などのメリットがえられます。
同じ病院での長期勤務では、どうしても視野が限定されがちです。もし医局に所属せずに一つの病院で勤務を続ける場合は、定期的に他施設での研修を受けることもよい方法です。
まとめ
⚪︎医局に入局しないメリット
1. 自分の勤めたい病院で勤務を続けられる
2. 自分でキャリアプランを組み立てやすい
⚪︎医局に入局しないデメリット
1. 専門医取得が困難になっている
2. 医局関連病院での勤務が制限される可能性
3. 視野が狭くなりやすい
医局に入局しない働き方には、自由度の高さという大きなメリットがある一方で、専門医取得や勤務先選択の制約というデメリットも存在します。
重要なのは、自分のキャリアプランと価値観に合った選択をすることです。どちらの道を選んでも、それぞれに異なる可能性と課題があります。
研修医の皆さんは、これらのメリット・デメリットをしっかりと理解した上で、自分にとって最適な道を選択してください!
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