今回は、整形外科志望の医学生の方からいただいたご質問にお答えします。

実際に整形外科医として10年以上働いている経験から、具体的なアドバイスをお伝えします!
⚪︎選択期間10ヶ月は恵まれた環境です
まずは、選択期間が10ヶ月もあり、自由度のとても高い研修だと思います。
・初期研修の必修科目について
まず、初期研修の仕組みを整理しましょう。医師臨床研修指導ガイドライン(2020年度版)によると、必修研修は以下の通りです:
-内科:24週以上(約6ヶ月)
-救急:12週以上(約3ヶ月)※並行研修可能
-外科、小児科、産婦人科、精神科、地域医療:各4週以上
これらを除くと、約10ヶ月の選択期間があることになります。選択期間が10ヶ月というのは、かなり自由度の高い研修プログラムといえるでしょう。
なお、研修システムや研修指定病院選びについては「研修指定病院えらび 10のポイント」で解説しています。下記のページで、内容について解説していますので、ぜひチェックしてみてください!
⚪︎整形外科志望者におすすめの選択科目
1. 循環器内科
循環器内科はどの専攻科に進んでも重要ですが、整形外科においてもとても大切です。
特に整形外科疾患で多いのが、大腿骨近位部骨折です。80台、90台、時には100歳の手術をしなくてはなりません。その時に重要なのが「心機能」です。また、不整脈薬の中には、抗血小板薬や抵凝固薬があり、その休薬についても熟知しなくてはなりません。しかし、循環器内科のいる総合病院であっても超忙しい循環器内科の先生に気軽く聞けないことも多い。自分で、心臓の評価を多少はできるようになっていると良いでしょう。
**学んでおくべきポイント:**
– 心電図の読み方
– 心エコーの基本的な見方
– 周術期の循環器管理
もちろん全てを理解するのは到底ムリ。この3つに絞って研修すると良いでしょう!
2. 脳神経外科
外科系当直において最も頻繁に遭遇するのは四肢外傷(整形外科分野)と頭部外傷(脳外科分野)です。これらの外傷は単独で発生することもありますが、交通事故や高所からの転落などでは多発外傷として同時に起こることもあります。なので、整形外科医になる前にぜひ学んでおきたい分野です。
**学んでおくべきポイント:**
– 頭部外傷の初期対応
– 意識レベルの評価
– CT画像の基本的な読影
夜間当直では、転倒して頭と手足を同時に怪我した患者さんを診ることが多々あります。頭部外傷の知識があると、より安全な診療ができますね!
3. その他の有用な科目
それ以外にもおすすめな専攻科をあげてみます。それぞれのポイントもあげてみますね!
**麻酔科**
– 整形外科手術では脊椎麻酔が多い。手技を習えるとよりgood!
– 周術期管理の基本を学ぼう!
– 気管挿管などの手技を習得しよう!
**救急科**
– 外傷初期診療の基本
– 救急科的な全身評価をならおう!
**リハビリテーション科**
– 術後リハビリの基本
– 機能評価の方法
– 装具療法の知識
でも、本当のおすすめは…
○整形外科をたくさん回ること!
他科での研修も大切ですが、10ヶ月という長い選択期間があるなら、思い切って整形外科を多く選択するのもよいでしょう!
研修医時代は自分の興味のある分野で研修することが重要!興味があれば学習意欲が高まり、充実した研修期間を過ごせます。
医局入局後は勤務先の選択自由度が下がり、研修病院に戻る機会も限られるため、この時期が貴重な学習機会となります。また、専門分野の多様性を体験して適性を見極め、将来につながる人脈形成もできます!
◯具体的な選択例
最後に、具体的な選択期間の例をあげてみましょう!
10ヶ月の選択期間の使い方例
– 整形外科:6-7ヶ月
– 循環器内科:1-2ヶ月
– 脳神経外科:1ヶ月
– 麻酔科:1ヶ月
– その他(リハビリ科、救急科など):適宜
この配分なら、他科の重要な知識も得ながら、整形外科への理解を深められます。
◯まとめ
⚪︎整形外科志望者におすすめの選択科目
1. 循環器内科
2. 脳神経外科
3. その他の有用な科目
(麻酔科、救急科、リハビリテーション科)
整形外科志望の研修医の先生には、循環器内科と脳神経外科の研修を特におすすめします。しかし、10ヶ月という貴重な選択期間があるなら、整形外科を多く選択することで、より深い学びと充実した研修生活を送れるとおもいます!
大切なのは、どの科を回るにしても**積極的で前向きな姿勢**を持つこと。そして、将来整形外科医として活躍するための基礎を、この2年間でしっかりと築いてください!
皆さんの研修生活が実り多いものになることを心から願っています!