今回は研修1年目の先生方に向けて、
選択期間の有効な取り方についてお話しします。
研修医の先生方、日々お疲れ様です。
さて、
研修期間の選択期間をどう取るといいのか、
悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
多くの研修プログラムでは、
2年目に選択期間が多く設定されています。
なぜなら、
1年目はまず基本的な診療科を回り、
医療現場に慣れることが重要だからです。
2年目になると、
ある程度経験を積んだ上で、
より自分の興味に応じた選択ができるようになります。
しかし、
その選択期間をどう活用するべきか、
具体的なアドバイスを受ける機会は意外と少ないものです。
そこで今回は、
選択期間の有効な取り方について、
3つのポイントをお伝えしたいと思います。
◯研修医1年目の先生へ 選択期間の有効な取り方は?
①自分の志望科を重点的に回る
②進まない可能性が高くても重要だと思う診療科を選ぶ
③マイナー診療科を選択する
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①自分の志望科を重点的に回る
まず一つ目は、
3年目以降に進みたいと考えている診療科を、
重点的に回ることです。
これは当たり前のように思えますが、
実はとても重要なポイントです。
1年目に各科をローテーションで
回った時とは異なり、
2年目の選択期間では、
より深く、その診療科の特徴や実際の
仕事内容を知ることができます。
1年目では仕事の流れを理解するだけ
で精一杯でしたが、
2年目では実際の手技を経験させてもらえたり、
流れがある程度わかっているので、
実際の仕事ぶりについても
理解することができます。
わたしは整形外科を選択したときに
骨折の整復や、関節注射などの処置を
実際に行わせていただきました。
これらの経験は、
自分が本当にこの診療科に向いているのかを、
より深く考えるきっかけになります。
また、
選択期間を利用して志望科を回る際は、
できれば春から夏頃に設定することを
おすすめします。
なぜならば、秋以降になると、
進路決定の締め切りが近づいてきて、
冷静な判断がしづらくなる可能性があるから。
春から夏の間に回ることで、
十分な時間をかけて考えることができますし、
他の選択肢と比較検討する余裕も持てます。
②進まない可能性が高くても重要だと思う診療科を選ぶ
二つ目のポイントは、
少し意外に聞こえるかもしれませんが、
自分が進む可能性は低くても、
重要だと思う診療科を選択することです。
これは将来の自分の専門分野と関連が深い診療科や、
どの診療科に進んでも役立つ基本的なスキルが学べる診療科を指します。
例えば、
わたしは整形外科医になりましたが、
今振り返ると麻酔科、循環器内科、
脳神経外科の3つを選択期間に回っておけば
良かったと感じています。
まず麻酔科については、
整形外科手術で頻繁に用いられる脊椎麻酔の技術を、
より深く学ぶことができたでしょう。
わたしが研修した研修病院では、
通常のローテーションでは脊椎麻酔を
実施する機会がありませんでしたが、
選択で麻酔科を回れば、
脊椎麻酔を経験できました。
これは整形外科医として非常に有用なスキルです。
また、「わたしは整形外科にすすむので、
脊椎麻酔をしたいです。」
といえば、麻酔科の研修とはいえ
「将来は整形外科の先生になる」という
目線で必要な技術や知識を指導してくれます。
次に循環器内科ですが、
手術前の心機能評価は非常に重要です。
特に心エコー検査の解釈について、
もっと詳しく学んでおけば良かったと感じています。
現在、
術前評価で心エコーの結果を見る機会が多いのですが、
駆出率:ejection fraction(EF)や大動脈弁狭窄(AS)の有無を確認する程度の知識しかありません。
もっと詳細な評価ができれば、
手術のリスク評価がより正確にできるはずです。
最後に脳神経外科ですが、
整形外科と共通点の多い外傷診療において、
非常に重要な知識を得られたと思います。
特に頭部外傷の初期評価や、
CTでの微細な所見の見方など、
救急外来で役立つスキルを学べたでしょう。
あらためて
これらの診療科を選択する際は、
自分が別の診療科に進むことを明確にした上で、
「整形外科医になる予定ですが、
この観点から○○科について学びたいです」
というアプローチをすると良いでしょう。
そうすることで、
その診療科の先生方も、
あなたの将来の専門を意識した、
より実践的なアドバイスをくれるはずです。
また、これらの専攻科は
2年目の終わり(秋や冬)に選択するとよいでしょう。
この時期には、3年目の進路も決まっていて
ほぼ”3年目”の専攻医としての
扱いもうけられます。
③マイナー診療科を選択する
三つ目のポイントは、
いわゆるマイナーな診療科を選択することです。
これは意外かもしれませんが、
医師としての視野を広げる上で非常に有効です。
研修プログラムでは、
内科、外科、小児科、産婦人科などの
メジャーな診療科が必修となっています。
しかし、
医者の世界はそれだけではありません。
例えば、皮膚科、耳鼻咽喉科、泌尿器科、
眼科そして整形外科などのマイナーな診療科は、
それぞれ独特の雰囲気や診療スタイルを持っています。
これらの診療科を経験することで、
医者の多様性を実感できます。
具体的には、
皮膚科では視診の重要性や慢性疾患の管理について学べますし、
耳鼻咽喉科では微細な手技や感覚器疾患の診断スキルが身につきます。
泌尿器科では排尿障害の管理について学べますし、
眼科では視機能検査の解釈や眼底所見の見方などを学ぶことができます。
これらの経験は、
将来どの診療科に進んだとしても、
患者さんの全身管理や他科との連携の際に役立つはずです。
また、
マイナー科を選択することで、
その診療科特有の雰囲気や働き方を知ることができます。
例えば、
皮膚科や眼科は比較的規則正しい勤務形態が多く、
ワークライフバランスを重視したい方にとっては参考になる働き方かもしれません。
一方で、
耳鼻咽喉科や泌尿器科は救急疾患も多く、
マイナー科の選択肢でも活動的な働き方を好む方に向いているかもしれません。
このように、
様々な診療科の特徴を知ることで、
自分に合った診療科選択の幅が広がります。
さらに、
マイナーな診療科を選択することで、
普段あまり接点のない疾患や処置について学ぶことができます。
これらの知識は、
一見すると自分の専門とは関係ないように思えるかもしれません。
しかし、
医師として長く働いていく中で、
思わぬところでその知識が役立つことがあります。
例えば、
整形外科医として働いていても、
皮膚科で学んだ創傷治癒の知識が骨折後の皮膚管理に役立ったり、
耳鼻咽喉科で学んだめまいの鑑別が、
頚椎疾患の診断に役立ったりすることがあります。
医学は常に進歩し、
診療科間の垣根も低くなってきています。
そのため、
幅広い知識を持っていることは、
将来的に大きな強みになる可能性があります。
【まとめ】
◯研修医1年目の先生へ 選択期間の有効な取り方は?
①自分の志望科を重点的に回る
②進まない可能性が高くても重要だと思う診療科を選ぶ
③マイナーな診療科を選択する
最後に、
選択期間の取り方に正解はありません。
重要なのは、
自分の興味や将来のビジョンに基づいて、
積極的に学ぶ姿勢を持つことです。
ここでお伝えした3つのポイントを参考に、
自分なりの選択期間の計画を立ててみてください!
そして、
その期間を通じて得た経験や気づきを、
しっかりと振り返る時間も作ってください。
その過程こそが、
あなたの医師としてのキャリアを形作る
重要な一歩になるはずです!
研修医の皆さん、
頑張ってください!
応援しています。
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